2023年8月、独立行政法人国立科学博物館がクラウドファンディングを始めました。当初の目標は1億円でしたが、わずか1日でその目標額に達し、最終的には予想をはるかに上回る9億円を集めることに成功しました。
　これだけの成果をあげた理由はなんでしょう？
　まず国立科学博物館が、行ったことがある人が多いであろう有名な施設であることが大前提。そして「独立行政法人は資金繰りが厳しい」という情報が広まっていたことが下地にあります。博物館など、入場料を徴収している施設の場合、コロナ禍で収入が減っていることも、想像に難くありません。さらに、世界情勢の影響で、光熱費が膨らんでいることは、誰もがよく知っています。
　こうした状況で、「国立科学博物館がクラウドファンディングをはじめた」という情報が伝わってきたら、「相当ピンチなんだ」と想像できる人が多かったのでしょう。
　わかりやすくいうと、「たくさんの人が国立科学博物館に共感した」のです。
　共感は、大きな力を生みます。では、その「共感」をビジネスに生かすにはどうすればいいのでしょう？
　その方法のひとつが、「ブランドストーリー」です。そのブランドストーリーについては、次回説明することにします。